WASTEWATER SURVEILLANCE
01 / ABOUT
感染症ウイルスに感染した多くの人は、鼻や口からウイルスを放出するだけでなく糞便中にもウイルスを排出しています。糞便中のウイルスは屎尿とともに下水処理場へ集まります。下水中のウイルス量を調べることで下水処理場の集水域の感染流行の状況を把握することを下水サーベイランス(または下水疫学調査)といいます。
新型コロナに関しても、下水中の新型コロナウイルス濃度を調べることで、感染しているが無症状のために医療機関を受診していない人(不顯性患者)や、症状があっても検査を受けていない人も含めた地域の流行の全体像を把握することができると考えられます。
京都大学大学院工学研究科附属流域圏総合環境質研究センターでは、これまで行ってきた下水中の病原微生物調査研究の一環として新型コロナに関する下水サーベイランスを行なっています。
02 / RESULTS
下水中ウイルス濃度は先週から引き続き増加し、感染の拡大傾向が見られます。
※「下水中新型コロナウイルス濃度」は週ごとに県内複数の下水処理場から得られた下水サンプルを繰り返し分析した濃度データ(下水1LあたりのRNAコピー数)の幾何平均。
※「定点あたり新規感染者報告数」は滋賀県定点医療機関(60医療機関)から報告された新規感染者数の定点あたり1週間合計。データは滋賀県 健康医療福祉部 健康危機管理課より取得。
03 / INFECTION RISK
下水サーベイランスで測定しているのはウイルスの遺伝物質(RNA)の一部であり、下水からのウイルス検出が必ずしも感染性ウイルスの存在を意味するものではありません。多くの研究から、下水中の新型コロナウイルスの大半は既に感染性を失っていると考えられます。世界保健機関(WHO)も「感染者の糞便から新型コロナウイルスに感染するリスクは低い」と公表しています。
また、国土交通省の調査では、下水処理場での処理過程における新型ウイルス遺伝物質の除去効率は高く、100分の1以下まで減少することが報告されており、放流水からの感染リスクはほぼないと考えられます。
04 / RESEARCH SYSTEM
令和5年8月より滋賀県における下水サーベイランス調査データの公開を開始しました。地域住民に流行動向の情報提供を行うこと、および下水サーベイランス調査一般に関して知ってもらうことを目的としています。
調査は2022年1月より、滋賀県内複数の下水処理施設(湖南中部浄化センター、東北部浄化センター、湖西部浄化センター、高島部浄化センター、および大津市水再生センター)において実施しています。結果は定期的に滋賀県や大津市とも共有しています。
高知大学、株式会社日吉、株式会社ウォーターエージェンシーの協力によって実施しています。滋賀県中小企業新技術開発プロジェクト補助金、内閣官房実証事業、JST未来社会創造事業の助成を受けています。
05 / LINKS